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辞任した役員の残任義務について

私の事業協同組合の定款では、理事の定数を「6人以上8人以内」と定めており、当初総会で6人を選出していましたが、今回1人辞任者がでました。辞任した役員の残任義務はどうなっているのでしょうか。
組合における理事の定数は、組合の規模、事業内容等に応じ組合の業務執行上必要な人数を定数で定めたものであり、常に定数を充たしておくべきものです。理 事の実員数が定款上の定数に不足することは、そのこと自体定款違反の状態であり、この場合当該組合の理事は法に定められた定数の遵守義務規定(中小企業等 協同組合法第42条で商法第254条の3を準用)の上からも速やかに理事の欠員分を補充する手続きをとらなければなりません。
また、中協法が第35条第6 項において商法第498条第1項第18号と異なる補充義務規定を置いていますが、それは同条第4項において、理事の定数のうち3分の1までは、員外理事と することが認められたことにかんがみ、員内理事者が3分の1を超えて欠けた場合、員外理事者が員内理事者を上回る場合がでて不都合となることを配慮し、特 に3ヶ月以内という期間を限って欠員補充を義務づけた点にあるものと考えられ、同項は決して定数の3分の1を超えた欠員がでるまでの補充義務を免除したも のではありません。
したがって、定款で定める理事定数(6人)を1人でも欠いた場合は、直ちに該当理事者に残任義務が発生するものというべきで、罰則を 伴った補充義務規定がないことを理由にこれを否定すべきものではないと考えられます。なお、定款において理事の定数に幅をもたせている場合において、下限 の人員を選出すると今回のような事態も生じやすく、「6人以上8人以内」として理事に2人の余裕をもたせた意味がなくなるので今後は定数の上限を選出する ようにして下さい。


出資一口の金額の引上げについて


私共の組合では、先般の総会で全組合員出席のもと組合定款中の「出資一口の金額は一万円とする」とあるのを、「出資一口の金額は、十万円とする」と満場一 致で変更の決議をしました。また、組合定款上金額一時払込み制をとっているため、増額分の払込みの期日についても決議しました。しかし、払込みの期限後、 未だ増額分を納入していない組合員がおります。その組合員は組合員としての権利を行使できるのでしょうか。また、組合としてその組合員にはどのように対処 すべきでしょうか。
組合員に追加出資をさせて出資1口の金額を引上げようとする場合には、前述の定款変更手続によることはもちろんですが、総会の特別議決の方法だけでこれを なしうるという説と通常の定款変更の方法のみではなく、さらに総組合員の同意を要するという説とがあります。
出資組合の組合員は、出資額の限度内において 組合に対して責任を負うにすぎないとされていますから、各組合員の追出資義務を伴うことになる出資1口の金額の変更は、組合員全員の同意がなければ有効に 定款を変更できないものと解されます。この場合、総会に欠席した組合員及び総会で出資1口の金額の変更議決に反対した組合員の全員の同意があれば、結局出 資1口の金額の変更につき、総組合員の同意があったことになりますから、組合員全員の同意があったものと解してさしつかえありません。増資分未払込みの者 に対する措置としては、組合に対する出資払込み義務を怠った組合員ということで除名(組合法第十九条第二項二)する方法があります。
この方法は、総会にお ける特別議決によらなければなりません。しかも組合は、事前に除名しようとするものに対して除名理由及び総会において弁明すべき旨の通知をすることを要し ます。もう一つの措置として、組合との契約上の自治的規制として、定款に定めれば過怠金、延滞金等をその組合員に課すことができます。組合としては、概存 組合員の地位を喪失しないような方法をとることが望ましいでしょう。
なお、この場合の同意は、組合員全員より「同意書」を書面で提出することが必要であると解されます。


「組合員たる法人の役員」たる地位を喪失した理事の員外理事就任の可否について


私どもの協同組合の組合員であるA株式会社の甲代表取締役が組合の理事に就任していたところ、その任期中に、A株式会社が組合員資格事業を廃止した為、組 合員資格の喪失により組合を法定脱退しました。
この場合、甲氏は理事の資格を失いますか。あるいは、員外理事として引続き理事の資格を有するのですか。理 事の取り扱いについてご教示下さい。ちなみに、組合の定款には、「組合員又は組合員たる法人の役員でない者は、理事については2人を超えることができな い。」と規定されており、仮に、甲氏が員外理事の資格を有するとなると、現在員外理事として2人就任していますので、定款で定める数を超えてしまうことになります。
はじめに、選挙の当時、組合員又は組合員たる法人の役員であることを前提として就任した理事(以下、「員内理事」という。)が、任期中に、組合員又は組合 員たる法人の役員としての地位を失った場合に、理事の地位を当然に失うかどうかについて考えてみましょう。
まず、組合員又は組合員たる法人の役員以外の理 事、すなわち員外理事を認めない組合においては、その理事は当然に理事の地位を失うと解すべきですが、員外理事を認める組合については、大別して2つの異 なる見解があります。
1つは、員外理事制度は、組合員以外からも幅広く人材を得ることを目的として採用されたものであり、員内理事と員外理事の選出を行う場合の組合員の判断基 準はおのずと異なります。従って、員内理事は、組合員又は組合員たる法人の役員であることを前提として理事の地位を認められていたとみるべきであり、この 前提を失ったときは、員外理事を認める組合であっても、当然に理事の地位を失うと解すべきであるとする見解です。
いま1つの見解は、員外理事を認めている組合においては、員内理事は、組合員又は組合員たる法人の役員としての地位を失っても、なお理事としての権利義務 を有しており、員外理事としての地位に留まりうるので、当然には理事の地位を失わないとする見解です。現在、指導上は、後者の解釈がとられています(「定 本中小企業等協同組合法詳解」中小企業庁編著、226頁、「法人登記書式精義(増補版)上」法務省民事局第4課編、427頁)。
ただし、この場合、員外理 事総数が、「理事定数の3分の1を超えてはならない」とする中小企業等協同組合法(以下、「組合法」という。)35条第4項の制限、あるいは、定款所定の 制限を超えることはできません。従って、次にこの法律又は定款規定に違反する場合が問題になります。このような場合は、組合が、この違反状態を是正するた めの何らかの調整措置を講ずべき事態が生じたということであり、超過員数分だけ、任意の者を解任する義務を負うということになります。
解決の方法として は、員外理事となった者を自発的に退任させるか、あるいは、員外理事相互間で協議をして、最も得票数の少ない者、組合との関連度が最も少ない者などを退任 させるというような方法が考えられますが、員外理事の誰も退任しようとしない場合には、最終的には、組合法第41条の規定により役員の改選を行うしか方法 がないと考えられます。なお、この場合、特定の理事を法令・定款違反に問うことはできませんので、理事全員について改選請求を行う必要があります。このよ うにみると、実務上の処理方法としては、員外理事となった者を自発的に退任させるようにするのが良いでしょう。


総会における白紙委任状の取り扱いについて


白紙委任状は、総会に出席しない組合員が理事長又は総会の議長に議決権の行使を一任したものとして、数に制限なく、これを理事長又は議長の議決権行使の数に加えることができるか。
白紙委任状は、総会に関して全般の責任をもつ理事長に代理人の選任を一任したものであって、理事長又は議長に議決権の行使を一任したものではないと解され ます。理事長が組合員の代理権を行使できるのは、組合員である場合に限られ、一般の組合員と同様に4人までに制限されます。なお、議長については、そもそ も総会の議決に加わる権利を有しませんので、議決権の行使を委任することはありえないことです。また議長は総会において選任され、議決権数(定足数)の確 認の必要上、その選任前に代理人が選任されていなければなりませんので、議長が代理人の選定をすることはありえないと解されます。
理事長又は議長の代理権行使の数が制限されるとすれば理事長又は議長は、他の理事又は他の組合に委任状行使を依頼することができるか。
このように白紙委任状は、中小企業等協同組合法11条2項後段及びこれに基づいた定款で規定した代理人となりうる者の範囲内において、理事長に代理権を行 使すべき者の選定を一任したものと解され、理事長が組合員の中から受任者を選定し、その組合員に代理権の行使を委任することは問題ありません。ただし、他 の理事に委任しようとする場合は、その理事が組合員であることを要します。
白紙委任状は、そのままでは無効であり、必ず代理人の指名が記入されていることが必要であるならば、いつまでに代理人を決め、有効なものにしておくべきか。
白紙委任状は、白紙の箇所が補完されて初めて委任状としての効力が発するものですから、総会において行使される際には代理権を行使する者の氏名が記入され ていなければなりません。この代理人の決定は、議決権行使時(厳密に言えば、議決権数(総会の定足数)の確認時)までになされれば有効であると考えます。
代理人の代理できる数以上に委任状がある場合は、どう処理すればよいか。
代理人の代理できる数を超える部分の委任状は無効となり、したがって、出席者数にも算入されないものと解されます。


理事の辞任届の効力について


理事が辞任届を提出し、理事会に出席しないとき、その理事は理事会の決定事項について責任を負わなければならないでしょうか。
組合と理事との関係は委任関係であり、その委任関係の終了は相手方の承認を必要とせず一方的に終了させることができるので、理事は辞任届をもって理事を辞 任したことになります。しかし、中小企業等協同組合法第42条で準用する商法第258条第1項の関係で、辞任により法定数を欠くときは、辞任した理事は、 後任者が就任するまでは理事としての権利義務をもちますので、ご質問の欠席した場合は、欠席した理事としての責任を負わなければなりません。